あの日のテレビのインタビュー
最近、天気のいい日が多いです。
ですので、外を出歩くのも冬に比べればハードルが下がっています。
いくら花粉症の季節だとはいえ、花粉症の患者は日本の人口の3分の1ぐらいですので、暖かくなると引きこもりたい人よりは、外に出たいと思う人の方が多いはず。
かく言うぼくも花粉症の患者でパニック障害の患者ですが、一日中家に引きこもっていると、外に出たい衝動にかられ、降り注いでくる花粉への防御を最大限にし、日中、外へと繰り出します。
目がかゆくなるのがぼくの花粉症の特徴ですが、その症状を差し引いても外に出るのは気持ちがいいものです。暖かいってやっぱりいいもんです。
そう思いながら歩いていると、昔、テレビで「地球温暖化についてどう思うか?」という街頭インタビューをやっていたのを思い出しました。
人間というのは勝手なもので、寒いときには早く暖かくならないかなぁと思い、また、暑くなる過ぎると、毎年のように「こんなに暑いのは今までになかったことですよ」と文句を言う人で溢れます。
そのテレビのインタビューでも、真面目そうなサラリーマンは
「いや、これは日本でというより、世界的に解決しなければならない問題だと思います。」
と答えたり、はたまた子連れの美人な奥様は
「そうですね・・・。詳しいことはよく分かりませんが、この子の将来のことを考えると心配になってきます。」
と真剣に答えている方が多かったです。
本来のテレビを考えれば、「地球温暖化は大変な問題なので、真剣に考え、ネガティブな意見が欲しい」と思っていたはずです。
しかし、そのテレビ側の思惑も最後のインタビューで見事に打ち砕かれます。
最後にインタビューを受けたのは、どう見てもホームレスな感じのおっさんでした。
そのおっさんはインタビューを受け、
「おーう!地球温暖化、大歓迎だ!もっと暑くなれば冬も住むところに困らねぇしな!兄ちゃん、パチンコ代くれや!」
と大笑いしながら答えていました。
恐らく、生放送だったのでカット出来なかったのでしょう。
テレビ側に衝撃が走ったことは想像に難くありません。
この話で、ぼくは思いました。
地球温暖化なんて、100人に聞けばほぼ全員が危惧する問題のはずです。
しかし、それを歓迎する声があるのも事実なのだと。
どんなに全員がダメだと思う問題でも、良いと思う人がいるのだと。
ドナルド・トランプも大統領の選挙戦でそう言っていました。
以前の記事にも書きましたが、出来事はただの出来事なのです。
そこに対して、どう思うかは個人の自由であり、そして、個人の思考のクセが表れているのです。
ぼくにはテレビに対して堂々と意見を言うおっさんが眩しく見えました。それはあたかも、泥の中に浮かぶ一凛の蓮のようでした。
そんなことを思いながら今日も街を歩き、ハードオフに行くとなかなかパンチの効いたおっさんがいました。
そのおっさんを見たときに、昔にテレビで見たホームレスのおっさんがまざまざとぼくの脳裏に蘇りました。
あのおっさんは、今日もたくましく生きているのでしょう。
ぼくも病気を抱えつつ、たくましく生きていきたいもんだと、ふと思いました。